規則(2)著しく射幸心をそそるおそれ

極めて面倒くさいお話をします。この時点でそんなの嫌だという方は、今回の記事につきましてはご遠慮ください。ふざけるな!お前の記事くらい簡単に撃破してやんよという勇気のあるお方だけ、次のステップにお進みください。

(1)風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律        
(2)風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 施行令        
(3)風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 施行規則        
 

遊技機に関する規定は上記3文献に書かれていることが全てです。その中で特に重要だと思われれる内容を抜粋します。

上記施行規則第8条 著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準        
        
(1)1分間に400円の当該金額がその対価の額である課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税に相当する額及び当該課されるべき消費税の額を課税標準として課されるべき地方消費税に相当する額を加えた金額の遊技料金に相当する数を超える数の遊技球を発射させることができる性能を有する遊技機であること。        
        
面倒くさい表現ですが、分間400円を超える玉数。つまり1分間に100個を超える玉を発射される装置があってはなりませんよと書かれています。パチンコ台の絶対アウトは100ですが、これはこの規定に基づいているのです。1分間のアウト玉=100と定義して、ホールコンピュータは演算処理を行います。厳密にいえば1円パチンコでは分間100円分の玉しか発射されていないということ。然しながら400円以下ですからこれOKという判断です。        
        
(2)一個の遊技球を入賞させることにより獲得することができる遊技球の数が15個を超えることがある性能を有する遊技機であること。        
        
入賞で15個以上の払い出しがあれば、射幸心をそそるに該当します。現行のパチンコ台が最大で15個しか賞球ないのはこのためです。16R×10カウント×15=2400個が最大の出玉性能ですが、このうちの15に該当するのがこの規定です。        
        
        
(3)1時間にわたり遊技球を連続して発射させた場合において獲得することができる遊技球の数が発射させた遊技球の数の3倍を超えることがある性能を有する遊技機であること。その他短時間に著しく多くの遊技球を獲得することができる性能を有する遊技機であること。        
        
        
つまり1時間に最大獲得できる玉数は6000個×3=18000個以内と決められています。客の出玉は18000-6000=12000個です。恐らくですが今回の慶次。確変中の大当たり確率を極端に低くしているのはこれに配慮しているからだと思われます。先日私が打った台で午前中に35000個というのがありました。3時間で54000個-18000個(アウト)=36000個ですから、午前中で35000個到達というのは、ほぼ機械のMAX性能です。        
        
        
        
(4)10時間にわたり遊技球を連続して発射させた場合において獲得することができる遊技球の数が発射された遊技球の数の2倍を超えることがあるか、またはその1/2を下回る性能を持つ遊技機であること。        
        
        
10時間はアウト玉60000個ですから、13時間フル稼働じゃないと達成できない数字です。この時の、勝ちの最大値は120000個-60000個(アウト)ですから、差玉で6万個。3.6円交換なら21万くらいの勝ち。負けの最大値は60000個÷2=30000個ですから12万ということになります。つまりパチンコ台というものは、マイナス12万円からプラス21万円までを想定して作られているということになりますね。        
        
        
        
極稀に、この1文を盾にとって文句を言うバカがいます。2000回嵌りは規則に違反している。裁判沙汰になったらこっちの勝ちだぞ。だから金返せと真顔で主張する人を見たことがあります。確かに、規則では2倍、1/2の範囲に収まることが原則で、それに適合しているか否かの型式試験を行い、外れたら不適合となります。然しながら、テストでは適合したとしても、確率は標準偏差の何倍もの嵌りや爆裂をすることは理論的に有り得ることなので、それが現場で起こっても致し方ないこと。朝一から3000回嵌り食らって、1/2以上嵌ったがやと文句を言っても、その主張は通らないのです。        
        
        
        
(5)役物が設けられている遊技機にあっては、役物が作動する場合に入賞させることが出来る遊技球の数が概ね10個を超える性能を有する遊技機でないこと。        
        
電チューが開いた時、アタッカーが開いた時入る玉数が10個を超えてはなりませんよという規定ですが、これが16R×10カウント×15の10カウントに該当することになりますね。        
        
        
        
(6)10時間にわたり遊技球を連続して発射させた場合において獲得することができる遊技球の数のうち役物の作動によるものの割合が7割を超えることがある性能を有する遊技機であること、その他獲得することができる遊技球の数のうち役物の作動によるものの割合が著しく大きくなることがある性能を有する遊技機であること。        
        
        
役物による出玉とは、アタッカーと電チューの両方のこと。つまり大当たりによる特賞出玉と電サポ中の払出し。この合計数量が出玉トータルの7割を超えてはいけませんよという規定です。残りの3割以上はヘソの賞球と小物入賞による賞球という事になります。        
        
        
(7)役物を連続して作動させるための特別の装置が設けられている遊技機にあっては、役物が連続して作動する回数が16回を超える性能を有するものその他当該役物連続作動装置の作動により著しく多くの遊技球を獲得することができる性能を有するものであること。        
        
16R×10カウント×15の16ラウンドに該当します。役物連続作動装置はアタッカーのこと。役物連続作動装置の作動とは大当たりのこと。        
        
        
(8)10時間にわたり遊技球を連続して発射させた場合において獲得できる遊技球の数のうち役物連続作動装置の作動によるものの割合が6割を超えることがある性能を有する遊技機であること。
        
        
        
ここでの(6)と(8)が実に重要な意味を持っています。特賞出玉と確変ベース両方では7割以下であると定義されてますが、特賞出玉だけで見ると全体の6割以下にしてくださいよと書かれています。        
        
アタッカー+電チューでは全体の7割以下        
アタッカーだけでは全体の6割以下        
        
        
世にも有名なベース規制でございます。射幸心をそそらないのが遊技機であり、そのためには遊技台の通常ベースは4割を超えるものでなければならない。とここに明記されているのです。果たしてベース4割を超える遊技機が、貴方が通ってるパチンコホールの中にありますか?なければこの規則には抵触するという話になりますね。これが遊技機の不正問題で問われている根幹に相当するもの。パチンコホールは、如何なる場合でも、遊技客に対して通常ベースが40以上の状態で遊技環境を提供する必要があります。でなければパチンコではなくて単なるカジノです。        
        
        
(9)遊技球の大きさに比して入賞口の大きさが著しく大きい遊技機又は小さい遊技機であること、その他客の技量にかかわらず遊技球の獲得が容易であり、又は困難である遊技機であること。        
        
        
パチンコ玉のφは11mmなので、11mm以下は著しく小さいに該当します。大きいは13mmですがこれは別の条項で記載されています。今年京都のパチンコホールで店長が逮捕されましたが、これは13mm以上ヘソを開けていたという事が、この規則に違反するという理由でした。この話を冗談みたいに捕らえた人もいるようですが、冗談でもなんでもなく14mmやそれ以上のクギ調整を行った店に対して、その管理責任者は処罰されます。        
        
        
(10)A客が直接操作していないにもかかわらず遊技球を発射させることができる遊技機であること、B遊技盤上の遊技球の位置を客の技量にかかわらず調整することができない遊技機であること、客が遊技盤上の遊技球の位置を確認することができない遊技機であること、役物を著しく容易に作動させることができる性能を有する遊技機であること、C遊技の公正を害する調整を行うことができる性能を有する遊技機であること、Dその他客の技量が遊技の結果に表れないおそれが著しい遊技機又は遊技の結果が偶然若しくは客以外の者の意図により決定されるおそれが著しい遊技機であること。        
        
        
ここに書かれている内容のAとBは固定ハンドルに関わってきます。客が手を触れず玉を飛ばすのは「アース」行為と呼ばれてます。いけないとは知りつつも大昔は結構やってました。ハンドル固定して、タバコの銀紙を介して金属につなぐと玉が勝手に発射します。こんなのいけないの当たり前です。Bはハンドルの操作によって玉を飛ばす強弱の調整をする。それができないのは駄目だと書かれています。ここで注目して欲しいのは、機械の構造でハンドル固定するのはいけないですよと書かれているということ。打ち手が、コインでハンドルを固定するか否かには限定していません。        
        
        
この問題は、遊技台が確変ベースが100を超えてはならないから、止め打ちで玉を増やすのも禁止だよっていう理屈と同じです。規則ではあくまでも遊技台の構造・性能のことを記述しているのであって、打ち手の操作まで踏み込んだものではありません。従って、ここでもハンドル固定の是非については、規則を解釈する人の基準によって考え方は変わります。止め打ちは店の利益削減に直結するから駄目だという理屈はある程度正当性があるものと受け止めておきますが、ハンドル固定はそうではないので拒絶理由は少ないと私は考えています。        
        
        
文献には遊技台のハンドルを固定してはならないという言葉は見当たりません。固定の是非については解釈基準により異なるものと考えられます。我々の地域では、警察の指導により、若しくは国が定める規則によりハンドルの固定は禁止されています。おやめくださいという店内アナウンスが流れますが、少なくともこの店内アナウンスは、間違った運用方法といえるでしょう。        
        
        
Cはモーニング機能や天井機能の禁止です。この1文によってパチンコでは「設定」という機能もまた禁止されます。打つ時期によって有利不利が生じてはならない。全ての遊技台が、同じ機械なら同じ確率でなければ不公平であるということを示唆する文章です。        
        
        
Dについてはパチンコ台が遊技機たるかどうかについて書かれています。パチンコ台がパチンコ台であるためには、技術介入の余地があることが条件ですよと明確に記載されてます。この1文を読むと、止め打ちはOKとなりますね。この項目での重要な概念は、確率という条件だけで、勝敗が全て決してしまうのは遊技台として不適合ですよということです。止め打ちがOKかどうかは、先日書いたセーフ÷アウトが1を超えてはならないという1文と照らし合わせて判断する必要があります。        
        
        
        
(11)容易に不正な改造その他の変更が加えられるおそれのある遊技機であること。        
        
        
まあ釘構造が真鍮製である限り容易に不正改造できますよね?将来的には遊技釘がセラミック製になることを示唆する文章です。規則でこんなことが書かれていることは知りつつも、パチンメーカーが商品を出荷するときに店に届いたらいちいち釘調整面倒くさいでしょ。ということでご丁寧に小物を全部潰してから納品してた。つまりパチンコメーカーが自らの手で不正改造して、商品を出荷していた。これが今の不正遊技機問題につながっていきます。        
※今の規則では遊技釘は金属でなくてはならないと記載されていますが将来は分からないという話です。        
        
        
        
以上(1)から(11)までが、射幸心をあおる遊技機の基準です。ここに書かれている内容通りに作ると遊技機としての適性はありませんよということです。風営法の施行規則の中でも、最も重要な事柄が書かれています。遊技者としてはこの内容は是非とも把握していただきたいものです。今日の内容は、できればコピー&ペーストして保存していただければと思います。暇なときにじっくり読んで、自分の頭で考えてみてください。        
        
        
        
慶次、エバ、ルパン。確変機のスペックを見てた時、慶次の1/137というのにピンときました。打つんだったらコレだな。慶次はここまで確変中の確率を下げなければ、出玉を抑えられないんだ。電サポ中の、出玉性能はMAX性能。規則を知っていれば、色々なことが見えるようになります。 

 

今日記載した内容の(6)と(8)は今日の内容では不十分なので後日じっくりやります。あと、遊技釘に関する内容もこの後どっかで取り上げます。何故こんなことを書くのかっていうことも後々理解できるはずです。       
        
 

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