落胆

私は毎月1回は仕事帰りに歯科医に行って、歯のメンテナンスを受けてるのです。メンテナンスというのは主に歯垢を除去する作業なので月1回は歯のクリーニングをするってことなんですけど、10月に行ったときは様子がおかしかったですね。医師がレントゲン写真を撮りたいと言い出したので何かあるなと思っていたら、下の第二大臼歯が割れていると言われて愕然としました。歯ってそんなに簡単に割れるんかって思ったけれど、場所を特定されてあーそういう事かと思いましたわ。


右下の奥歯2本目


ここは去年虫歯を治療した箇所ですが、その時の虫歯が歯の内部にあったので内周をくりぬいていたんですね。
 

これが正常な状態
 

 

歯の内部に虫歯があったため内部を削除して樹脂を詰め込んでいました。この樹脂が2回ほど剥離してしまったんで、接着をし直すということをやっています。恐らくは詰め物が剥がれずにいれば、歯は正常だったと思うけど詰めたものが取れた時に1週間くらいは空洞のまま生活してたので割れたんでしょうね。歯の内部をくりぬいているので外周が薄くなっていて割れやすい状態になっていた。そこで詰め物を再度挿入するまでの間。つまり空洞になっている状態で硬い食べ物を食べた時に割れたんだと思います。

 

割れちまった歯は復元できないので


根元から抜歯ですね。歯を根こそぎ抜いて、新しい樹脂を埋め込むんですけどこれは大変な作業です。


歯を抜いてしまうと歯根とか歯髄という部分が空洞になっているので、ここに樹脂を埋めて更地を作ります。この作業には患者の血液を混ぜるとなじむという事で、採血して樹脂に混ぜるのです。ところが私の両腕は血管があまり浮き出てないので看護士が上手く採血できずに失敗に終りました。極稀に下手くそな看護師がこれをやるのですが、この日採血できなかったら作業が進まないので見かねた医師が採血を中止して別のものを詰めてはどうかと言われました。
 

京セラの最高級77000円を詰めるけど、採血に失敗したのは当方の責任だから元々入れようとした詰め物の33000円の値段で入れるけどどうでしょうか?そう言われても、私には何が何やら分からんのでしばし呆然。結局血液は無視して、そんなもの使わなくても身体によくなじむ京セラの77000円を使おうという事で合意。合意しなければ今日何しに来たんか分からんからね。代用品で処理するけど、一般の人には手が出ないような高級部材を使うのだからまあええかという感じですね。

 

これが正常な状態
 

 

歯を抜くとこんな感じです。右下の奥から2本目です。

この抜いたところの土台に京セラの77000円を埋め込んでしばらく放置。この日は77000⇒33000円にしてくれたので其れを支払うけど、保険点数がなく実費請求。保険適用できない部材なんですね。受診する前にこういうことは説明しとけよって思ったけどこれだけの金額になると現金の持ち合わせがない事もあるから本当にこの医師は駄目ね。何にも事前に説明しないんだもん。其れでいて現金払いオンリーだからね。


(1)入れ歯
(2)ブリッジ
 

 

入れ歯とブリッジという措置があるそうで、どっちにしますか?って医師に聞かれたけど、大体ブリッジって知らんから説明してもらってやっと納得。入れ歯は毎日外して洗わないとアカンけど、ブリッジは金属の歯を接着するんで洗う手間がない。其れだけの説明ならブリッジの方が良さげに思うけど、ブリッジを到着するには、前と後ろの歯をかなり削らんとアカンそうな。


入れ歯なら1本の人口歯を入れるだけだけど

ブリッジなら3つの歯を加工せんならん。

 

ブリッジという選択はないね。健康な歯を2つも削るというのが嫌だったので、入れ歯にしてくださいってお願いしたけれど。こういうのってそれまでに説明しとけよって思う。結局この日は上と下と両方の型取りをしておしまい。開いた空間に入れ歯を入れる訳ですけどどんな樹脂で作るんやって聞いたら


PMMAって言われたわ。熱可塑性の樹脂ですな。


熱可塑性の樹脂
(1)塩化ビニル(PVC)
(2)メタクリル(PMMA)
(3)ポリスチレン(PS)
(4)ABS
(5)ポリエステル(PET)
(6)ポリカーボネイト(PC)
(7)ポリアミド(PA)
(8)ポリプロピレン(PP)
(9)ポリエチレン(PE)

 

熱可塑性の樹脂で代表的なのはこの9つ。塩化ビニルは人体に有毒なんで使うわけなく其れ以外。ポリスチレンは柔らかすぎて歯の強度にはダメ。ABSも柔らかすぎる。ABSとはアクリル、ブタジエン、スチロールの合成樹脂。ポリエステルはPETボトルに使ってる奴なんでこれも駄目だな。ポリカーボネイトはかなり硬い樹脂だからこれかと思ったけど違ったわ。ポリカは自動車の背面ガラスの代用品として使われています。ポリアミドはナイロンのこと。ポリプロピレンは100均で売ってる容器類は大抵これ。容器は弾力性がなくても良いからPPを使うけど、ふたは弾力性が要るんで大抵はポリエチレンだね。この辺の樹脂も強度が足りないから歯には不向きか?


結局(2)のメタクリル樹脂でしたけど、早い話。これはアクリルのことね。

 

まさかアクリルで入れ歯を作るとは思わなんだですね。硬さだけで言えば、メラミンとかフェノール(ベークライト)とかユリアで良いと思うけど、入れ歯だから白い色を作るので酸化チタンと混ぜやすい樹脂にしたんでしょうか。

 

アクリルは強度もあるけど、何よりも透明性が高い樹脂です。私が知る限り透過性という点ではアクリルがナンバー1。其れゆえにパチンコ台の飾りにも沢山使われてきた樹脂ですし、LEDライトを包み込むプラスチックには大抵アクリルが使われています。透過性能が低いとLEDがきれいに光りませんし、装飾としては物足りない。だからこそアクリルが使われるんですが、まさか入れ歯にアクリルが使われるとは思ってなかったですね。何故ならば上記9種類のうち(1)から(6)までは有機溶剤に溶けやすいから。入れ歯を洗浄する景色を何度も見てきたけれど、私の作業現場では当たり前のように有機溶剤が氾濫してるし、万が一ディスカップに溶剤を充填して入れ歯を洗浄しようなんて事したらおしまい。溶剤にはインクを希釈して転写しやすい粘度にするという目的があるけど、其れ以外にもこびりついたインクを洗い流すという目的もあるので「洗浄用の液体」であるから。


ポリアミド(ナイロン)、ポリプロピレンは全く溶剤には溶けません。ポリエチレンは溶けてなくなるってことはないけど多少侵されます。


熱硬化性樹脂
(1)ガラスファイバー(FRP)
(2)カーボンファイバー(CFRP)
(3)ユリア(UF)
(4)フェノール(PF)⇒ベークライト
(5)メラミン(EP)
(6)エポキシ(EP)
(7)ポリウレタン(PU)
(8)シリコン(SI)
(9)アルキッド系樹脂

 

熱硬化性の樹脂は溶剤に溶けないものが多いので都合良いかと思ったんですけど、入れ歯には使われないみたいですね。この辺は何か私が知らない事情があるんでしょうけど、熱硬化性の樹脂は加工しにくいのかも知れませんね。歯型を作ってそこに液体の樹脂を流し込み硬化させるだけの簡単な手順で作るんで熱可塑性の方が都合良いのでしょう。


熱可塑性⇒熱で溶けるチョコレートみたいな奴
熱硬化性⇒熱で固まるけど、可塑しないクッキーみたいな奴


プラスチックはいずれも高温になると柔らかくなって液体状になるんですけど、硬化後再加熱で何度も状態が変化するのが熱可塑性。一旦熱硬化したら二度と同じ形には戻れないのが熱硬化性。


人生初入れ歯

 

屈辱的な出来事を受け入れるのに時間がかかった。もうそんな年齢か?どのみちいつかは総入れ歯みないなことになるんやろけどその時期を遅らせるために毎月歯医者に通っていた訳であり、そうした努力もむなしく1本の歯を失いました。歯の内部に虫歯ができてその塊を取り除くとぽっかり空いた穴。外側の象牙質が薄い皮のようになってしまったので割れたんでしょうけど、まさかこの年齢で入れ歯を作るとは思いませんでした。皆様も歯は大事にしないと…


入れ歯を作る羽目になった時は落ち込むよ。

コメント

  1. 大谷好きより:

    こんばんは。大変でしたね。
    私もつい半年前初めて虫歯をやらかしまして詰め物しております。
    母親が小さい頃から歯医者に連れて行ってくれていたことに感謝をしましてもうこのようなことがないようにボーナスもらうたびに歯医者に通うことになったのですが前回行った際親知らずの虫歯を発見。
    抜歯という形になりましたとさ。ちゃんちゃん。お互い歯には気をつけなければなりませんね。

    2025年12月1日 PM 6:52
  2. ゴーニィ より:

    歯には気を付けてはいるんですが

    加齢との戦いもあるでよ。

    今回のことはかなりこたえました。気を取り直すのに時間がかかりましたね。また店で会いましょう。

    どうやら凄いことになってるみたいですよ。

    2025年12月1日 PM 9:25

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