カド番は有利なのか?

パチンコの釘調整が公には認められないという方向で動いている以上、この世界で飯を食っていくのは至難の技といえるほど厳しい環境になってしまいました。打ち子や軍団と呼ばれる人たちは、いまだに甘い環境を目指しているようですが、パチプロと呼ばれる人たちは既に釘調整以外の道筋を模索し始めており、個々のレベルでは私たちに分からない方法で勝っていける術を手に入れている人も多いと思います。パチスロにどっぷりと染まった人たちがスロが厳しいからという理由でパチにも目を向けるのは構わないと思いますが、隣の芝が青く見えるという理由でこっちの世界に来るような人たちは恐らくは跳ね返されるでしょう。パチンコはヘソに玉を入れるだけの道具ではありません。パチスロで勝つためのロジックとパチンコで勝つためのロジックは大きく異なります。そんなパチスロユーザーの為に今日はパチンコで勝つために考えていることの一例を取り上げてみたいと思います。

パチンコ台のスタート率を左右する物理的要因は沢山あるので、それらを全て解明することは非常に難しいです。一番分かりやすいのは釘調整だと思われがちですが、遊技釘というものは調整以前の問題もあるのでそれをきちっと理解できている人間はごく少数派だと思います。何故かというと盤面に打ち付けられた遊技釘のそれぞれのピッチは等間隔で設計され、等間隔で打ち付けられているように見えますが、厳密に言うとミクロレベルでは全ての遊技機で誤差が生じています。つまりヘソの左と右の間隔も11ミリより少し広めに設計されてるけど、実際には同じ機種であっても11.20~11.40程度の誤差があるし、その間隔の違いはメーカー毎に異なるし、機種毎にも異なるものであります。もしかしたらゲージが甘いといわれる機械はこの間隔が広いのかもしれませんし、ゲージが辛いといわれる機械はその反対の可能性がございます。同じ機械であっても、横並びで比較するとミクロレベルでは全て数値が異なるのですが、それは元々パチンコ台のセル板が木材であった為生じた現象です。木には節目があるので、釘を打ち込んだときに少し位置がずれるんですね。そのため11.20で設計しても11.40という機械が出回ることがありました。これを回りグセが良い台と申します。最近ではアクリル製のセル板を使うので誤差は少なくなってますが、それでもゼロにはなりません。従って遊技釘の個体差は釘調整だけではなくて、初期状態を考慮した物理的形状とお考え下さい。    

 


今日は遊技機に生じるスタートの良し悪しを決める物理的要因についてお話します。先ほどの前説を考慮すると物理的要因は次の3つです。    

 

(1)遊技釘の形状(調整前と調整後を考慮する)    
(2)ネカセ(遊技台の前と後ろの傾斜角度)    
(3)ゆがみ(遊技台の左右の傾斜角度)    

 


今まで何度も横スタを決める優劣は遊技釘やネカセの問題じゃないと書いてきたと思いますが、その第3の物理的要因は島設備に生じる歪みではないかと思ってるんです。今日お話しすることは身を以て検証したわけじゃないのでこのような場で公開することを躊躇ったのですが、言葉にしなければ何も始まらないと思ったので自分なりの意見を書いてみます。パチンコ島が水平に取り付けられているというのは、新築オープン直後だけのことです。パチンコの島設備を新規に設置したときは島は水平に保たれてますが、遊技機というものは非常に重たいので、少しづつ島設備にたわみが生じます。パチンコ台を取り付ける島は殆どが木材でできているので遊技機を載せるとたわんでくるのですね。この時のイメージ図が下の画像のような感じです。還元機と島端は固定されてるので撓みは発生しませんがそこから真ん中に向って島はたわみます。①、②、③、④を結ぶラインは本来は水平に取り付けられた厚み30ミリの木材です。この上に遊技機が取り付けられるので左端の①カド番は右下がりに傾くし、還元機の左側の台は右上がりに傾きます。①と③は右下がりだけど、②と④は右上がりです。右下がりに傾いた台は、玉がヘソ周辺まで落下してきたときの玉の速度が速すぎてヘソを飛び越える玉量が多くなってしまいます。これがいつも書いている力学的エネルギーの大きさがヘソ入賞に適していないという言葉の正体です。右下がりの遊技機は玉の勢いが強すぎるし、右上がりの遊技機は玉の勢いが弱すぎる。ちょうど良い玉の速度で落ちてきた台のことを横スタAと呼んでいるけれど、これは恐らくは歪みのない状態にある遊技台ではないかと推測しているのです。従って横スタAが存在するのは島端とか還元機近くではなくて、真ん中辺りに位置することが多いと考えられます。

 

還元機

左右傾斜

※昔画家を目指していたという割にはド下手くそな絵ですが、真剣に描いた訳ではないのだからそこは笑うなよ!


わたくしが遊技機メーカーで島設備を開発しているときにこのような検証も行うべきだったと後悔していますが、何せ新品の島設備を作った時は水平になっているので、なかなか検証を行う機会がありませんでした。島が古くならないとたわみは発生しないし、その経年劣化は設備毎に異なるため実際にどれくらい歪んでいるのかは分からないのです。島端は隣に障害物がないので遊技機の傾きは特に大きいと思います。それ以外の台は、遊技機同士でサンドイッチ状態になっているので極端に左右に傾くことはないと思いますし、必ずしも一律に上図のような勾配にはなっていないかも知れませんが、左右どちらかに傾いていることは間違いないでしょう。この時の傾き方次第で、力学的エネルギーがヘソの入賞にドンピシャとなる台が出現する。この図では①左カドは右下がりの傾斜角度が大きいので玉の速度は速いけれど、④は落下速度が遅いということになります。②と③にも同様の傾向があるはずですが、還元機に支えられてますから、ここはカド番に比べるとその影響は少ないでしょう。すると一番注意しなければならないのはカドですね。

 

 

もう何年も前からずっとこの問題には取り組んでいて、ヘソ周辺に落下してきた玉の速度が台毎に異なるのは遊技機の釘調整とか、前後ろ方向の傾きではないことは分かってました。そうすると残った物理的要因は、左右の傾きくらいしか考えられないということでずっと検証を重ねてきたのですが、如何せん私自身が一度もこの傾斜角度を測ったことがないので文書化することを避けてきました。然しながら頻繁に横スタA,B,Cという言葉を使ってみたり、力学的エネルギーがヘソの入賞に適していないという表現を使用する機会が増えてきたのでこの議論は避けては通れないだろうという考えに至りました。間違ってるかもしれませんが、遊技機の左右の傾きによって横スタの性能は変化するという理論で今後も記事を投稿していきたいと思います。スタート率の追及は本当に奥が深いです。入賞率を左右する要因は、主に物理的な要因だと思いますが、私は上述したように(1)遊技釘、(2)前後の傾き、(3)左右の傾きを3本柱ととらえていますが、それ以外にも物理的要因があるかもしれません。簡単なように見えて簡単じゃない。単純なように見えて単純じゃない。それがパチンコです。

 

遊技機の左右の傾きは店毎に全部異なると思うし、同じ店内でも全てが同じ角度にはなっていないでしょう。島端から還元機までの間でかなりのたわみが生じているのは間違いないのですが、遊技機は間仕切りに挟まれて取り付けられてますから遊技機自体に変形がない限り極端に傾くことはないでしょう。右下がりから始まってどっかで水平になるし、どっかで右上がりになるんでしょうけどその線引きが難しいです。遊技機の釘形状にしても、まさか最初から誤差があるとは思ってない人が多いと思います。ヘソの釘調整を見るとき、人は皆開いた側の釘ばかりを目で追うでしょうけど、実際にはその奥側の間隔も大事。ここが11.20~11.40までの誤差があるなんて誰も思わないでしょう。パチンコで勝つためにはこのような知識も必要で、何年パチンコやっててもまだまだ知らないことが多いと思うし、分からないことが沢山ある。スタートを左右する要素は複雑で今日お話した物理的3要素以外にも、パチンコ玉の汚れを問題視する人もいらっしゃいます。パーソナルシステムの島設備環境では玉がキレイだからよく回るけど、玉積み島では汚れやすいから回らない等々。この辺のことも考えることはあるけど、汚れと入賞率についての因果関係が今イチ説明できないので私自身はあまり気にせずに遊技しています。確かにハネ物に関してはそのような傾向があるのかも知れませんが、デジパチでどの程度影響を及ぼすでしょうか?謎だらけです。玉がよく入るとか入らないという問題は、殆どが物理的要因によって解決されるので、間違っても電圧という方向には発想を飛ばして欲しくないです。自分では解決するのが難しいからといって、電圧とかホルコンのせいにするのは現実逃避でしかありません。

 

 

(1)カドから2番目、中カドから2番目は意外と横スタが良い場合がある。
(2)島端から還元機までの真ん中辺りに横スタAが存在する可能性が高い。
(3)恐らく左右の傾きが小さい方が横スタは良いのだろうと思ってる。

 

 


はっきりしているのは、カド番には横スタAが存在しないってことですね。昔からカドが良く出るとかの理由でカド番に座りたがる人は多いし、電車でもどこでも人が座る位置は必ずといっていいほど隅っこが好まれる。遊技機のデータを積み重ねていくと、必ずカド番の稼働だけが突出して高い。ほぼ例外なくカド番の稼働は他の台よりも2割増し、3割増し程度は高くなる。それほどまでに好まれているカド番ですが、実際に遊技するとなると必ずしもいいとは限りません。

 


むしろカド番は常に不利な戦いを強いられていると思って頂きたいです。

 


 

コメント

  1. ピカ吾郎より:

    なるほど。手前or奥の傾きは頭の片隅にあったものの、横のたわみには意識が向いていませんでした!

    カド番に関しては昔の必勝ガイドでも似たような検証をされていたように思います。今回のゴーニィさんのような「たわみ」ではなく単に人が多く座るから稼働があがり、結果として出ているように見える。といった内容だった気がします。

    カド番から2番目。中央付近から2番目。頭に入れておきます!

    2022年9月8日 AM 3:32
  2. ゴーニィ より:

    ピカ吾郎様

    島設備メーカーに勤めていないとこういうのは分らないと思うんですが…

    島柱を組んだ後、カウンターと呼ばれる板を載せるんですが、これが厚み30mmの木材なんですね。今の遊技機は単体で50kgもあるので営業してるとその板が曲がってくる。ほんでもって島端と中角だけは支えがあるので曲がらない。よって右上がりと右下がりの台ができるんですけど、この角度の違いが力学の違いを生み出し回転率に影響を及ぼす。

    というのが長年の研究で分かってきました。

    保存版で書いてることはレアな文章ですが、貴重ですよ。

    2022年9月8日 AM 5:19

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