多分麻雀の実力に関しては男性と女性の差はないんだろうなあって思ってるんですけど、私が女流雀士で最強だと思ってる方は瑞原明奈さんですね。以降敬称は割愛させて頂きますけどオールスター麻雀にもついに瑞原プロが登場しました。本日は4月2日に放送された対局の中からアレっと思った事を取り上げてみたいと思います。

瑞原明奈プロ
最高位戦日本プロ麻雀協会所属
1986年生まれ
ゴリゴリ押すゴリラ麻雀が特徴

勝負と思った時はゴリ押しの強気な攻めを見せますが、基本愚形からのリーチが多くて先制攻撃が得意。やはり麻雀は強気に攻める人の方が強いみたいですが、一流のプロになると停める牌も尋常じゃない。彼女がどのような麻雀を打つのかが非常に楽しみでこの対局が来るのを待っていました。この日は岡田紗佳プロも同席したので瑞原とは別の意味で楽しみだったのですがどちらも超美形雀士。果たしてどちらに軍配が上がるのか？
 

場況は東4局大きく凹んだ瑞原の勝負手です。

親は岡田プロ
南家柴田プロ
西家木原ポーカーのプロ
北家瑞原プロ

この手に瑞原は8ピンを引き入れ2ピンか9ピン待ちのテンパイですが、ここで2ピンを切ってリーチと出ました。本人曰く普段ならヤミテンにするけど、素点を挽回すべく跳満狙いでリーチに打って出ました。ピンズのホンイツ狙いでピンズ待ちは不本意な待ちですがラス目とあらば仕方ないところです。

リーチ(1ファン)
メンホン(3ファン)
チートイツ(2ファン)

同順に6ピンを引き入れてテンパイしたのが木原プロ。テレビで観ててこれは9ピン放銃だなって思ったのですが、ここで木原は何と9ピンを停めて5万を切って降りたのです。

西片アガリでドラは8ソー。西が出れば西ドラ3の満貫手。8ソーでは和了できませんが1枚切れの西は出る可能性ありです。

その後岡田が456ソーとチーしてタンヤオドラ2のテンパイ。カン4ピン待ちでしたが11巡目に柴田が追っかけリーチをかけます。この段階で岡田は9ピンを引いてしまい小考。

木原はリーチ直後に引いた9ピンを停めましたが、次巡で柴田からのリーチがかかってしまい岡田は切る牌がなく窮地。瑞原のリーチはピンズ見え見えだけど2ピンを切ってのリーチだから369の筋は非常に切りずらい。そこに柴田が追っかけリーチと来たもんで尚更ピンズは切り難い。この手降りるんなら6ソーくらいしかないんですけど、行くんなら3ピンか9ピン切り。3ピン切ったらペン4ピンの片アガリだけど、9ピンを切ればカン4ピンでどちらも5800点の手です。だけど3ピンは瑞原、柴田両者に切り難く打つなら9ピンとなるでしょう。ここで岡田は9ピンを切って瑞原へ跳満を打ち込みました。
 

この手で9ピンを停めた木原と9ピンが停まらなかった岡田。

状況が違うんで一概には言えませんが、自分の手の形よりもおりる事を選択した木原と、自分の手を押し切って降りなかった岡田。2軒リーチとなって打つ牌に窮したのは分かりますがこの手で行くか、降りるかの選択は悩みどころですが、恐らくこの手で木原なら6ソーを打ったんではないかと思うんです。カン4ピン待ちで2軒リーチに押してくのはかなり辛いんでここで押すのは難しいです。

9ピンを停めた木原と
9ピンを停められなかった岡田
 

お次は南2局木原の親番です。

6巡目に白をポンして柴田がテンパイ。トイトイ白で南とイソコ待ちですが南が出れば満貫。積もれば三暗刻まで付きます。切り牌は

2ソー、4ピン、7ソー、7万、5万、5ソーなので字牌バリ危ないです。

切り順からして恐らくはトイトイっぽいですが場には東1、西1、北1、中1。この状況で
 

瑞原が当たり牌を掴みました。

これは絶対放銃です。まだ6巡目。白をポンしてるけどまだ発、中、南はポン材だろうと見るのが普通で南が当たり牌だと思える人は滅多にいないでしょう。ワンズの123は外せないし、3ソーはドラだから切れないし、赤5がある5ピンも切らないので、ここで切るとしたら7ソー、西、東、南のいずれか。大抵の人はここで南を切るから放銃なんですけど、水原は何とここで7ソーを切りました。恐るべし瑞原。満貫の放銃回避しました。

ほどなくして南を掴んだのが岡田。

岡田は中をポンしてイーシャンテン。58万か35ソーを引けば聴牌という形から南を引いて、この南を切りました。トイトイ白南の満貫放銃となりました。ここでも

南を停めた瑞原
南と停められなかった岡田

恐らく麻雀が強いか弱いかの線引きは、牌を停められるかどうかにかかっている。その昔阿佐田哲也がAクラス麻雀という本の中で語っていたように、人智で停められる牌で放銃したのでは凡エラーである。その通り。麻雀は常に1枚牌をツモり1枚牌を切る。ツモる牌の選択肢はないけど、ツモった牌を含めた14枚のうちどれを切るかはその人次第なので、牌を停められるかどうかも人智ということですね。瑞原が南をツモった状況では人智なくば「南」を切るしかないけど、人智があれば

7ソー、西、東、南という4択が生まれる。

西と東が役牌ならば和了し易そうな手ですけど、西も東もオタ風なのでこの手を和了するのは相当厳しいと思う。だからこそ切る牌に悩んだんですけど、ドラの3ソーを伸ばして1面子。58ソーで1面子と考えれば西と東のトイツはどちらか不要なのでこれをトイツ落としする手もあるとは思うけど、場合によっては7対子って考えると7ソーも切れないし南しか切れなくなる。まだ6巡目で白ポンだけの状況では南はポンされるかもしれんけど、ロンはされんやろと思って南切るのが普通と思う。そんな状況で南を押さえ込んだ瑞原の選択はお見事としか言いようがない。

流石はプロやねって思ったけど

瑞原普段は強気に攻めるゴリラ麻雀。勝負手が入り勝てると思った時には全ツッパで突っ込んでいく攻撃スタイルですが、勝てる形じゃないって思った時はこのように降りることもできる。形なんでしょうね。和了率が高いと思った手では突っ込むけど、和了率が低いと思った時は自分の出番じゃないって考えて当たり牌を封じ込める。これができるのは相当手強い雀プロですね。状況が異なるから岡田放銃を一概に論じることができんけど、瑞原は万が一岡田の手牌でも「南」を抑えたんじゃないかなあって思うのよ。そう思わせるだけの力量を感じました。東場の木原にも同じことが言えます。木原はトップ目で東4局ラス目のリーチに対してですから無論喧嘩する状況じゃないってのは分かるんですけど、同じ立場で僕ならば「9ピン」を切ってましたね。

ラス目からリーチときた時は本当に気を付けねばならんのです。

木原の手は西と8ソーのシャボ待ち。9ソーポンしてるから8ソーではあがれない西だけの片アガリ。だけど1枚切れの西は他家から出てくる可能性もあるし、出れば8000点の和了だからあがりたい気持ちが優って僕なら9ピンを切っちゃうけどそうしなかった。ラス目のピンズ見え見えリーチにピンズを打って放銃すれば2位に転落するかもしれんという可能性もあっただけに、この時の木原の手順は素晴らしいの一言ですが麻雀プロではない彼がこのような打ち方できるとは思いませんでした。流石ポーカーのトッププロ。一流を極めた人は何やっても凄いのかと思うけど、ポーカーも麻雀もパチンコも同じ。一流のプロは何かが違う。
※ラス目の人は和了重視のリーチではなくて、無理しても高打点を狙いにいくリーチを打つことが多い。

この日1日だけを見て

判断するのはぬるいと思うけど、其れでもこの日1日の中に強さと弱さを感じたという次第。岡田が何故今シーズン500ptもマイナスを叩いたのかが少しだけ分かった。まだ未熟なんだ。其れに対してあの場面で「南」を封じ込めた瑞原の判断は唸ります。これが今をときめくトッププロなのかと思いましたが、Mリーグでもプラスを叩き続ける瑞原の姿とこの日の半荘2回の瑞原の手順がダブリます。得点の差、ポイントの差は運だけじゃない。確かな技量に基ずく裏付けであると。

2024-2025　Mリーグ96半荘が終わりました。トップは赤坂トリブンズのプラス1100pt。最下位はビーストⅩのマイマス1100pt。その半分のマイナス570ptを叩いてしまった中田プロは来年メンバーから外れると思ってましたけど、BEASTⅩは中田と鈴木と来季の契約更新を発表いたしました。驚きの選択ですが、BEASTサイドのコメントを読むとやはり「中田」の美形と人気にあやかる気持ちも分かるし、まだプロ駆け出しの中田に試練を与えて成長を期待する親心も分かるし色々と期待されてる選手ってことで

上から読んでも下から読んでもナカダカナは来期もMリーグでプレイします。

やるからには是非とも来季こそは成長が見える形にして欲しいと願いますが、結果はまだまだ付いてこないでしょう。この日の岡田と瑞原の力量差のように、中田とその他大勢のMリーグプロとでは雲泥の差があるのでちょっとやそっとでは力の差は埋まらないと思いますが、だからといって中田の華をこの段階で潰してしまうのは勿体無いという気持ちもあるし、華がある雀士だからこそこの先まだまだ長い登り坂よねって思って応援するだわな。

美形だからダメってことではない。

岡田も中田も美形だけど力は足りない。でも瑞原は美形だけど麻雀の腕は一流なので美形だからダメってことはない。

瑞原
木原
岡田

この3者の力の差を感じた日。当たり牌をピタリと停めるのが麻雀ならば、パチンコでは回る台しか打たないし絶対に2台目には手を出さないことが力量の差と考える。其れができない人はいくら長い時間遊技できても力不足としか映らない。私の目には