Do you have a TOYOTA

今年からは色々と趣向を変えて記事をUPしていこうと思うとるんですけどその第1弾として会社の宣伝みたいな記事を更新します。今までにもそういうことやっても良かったんですけど昨年の6月で退職することが分かっていたのでやりませんでした。また雇用される事になった為思いついたという次第です。世の中の大半の人は今私が働いている仕事の内容は理解できんと思うてるし、殆どの人間が知らない世界なんでこういうのアリかなあと思うて記事にするんですけど良かったらじっくりと読んでみて下さい。自分のお仕事については「色のエキスパート」ってことは書いてきたのでそれは理解されとると思いますが、問題はその色をどうやって再現するかってこと。印刷機といっても皆さまがイメージする機械とは全く異なるので多少驚きの内容だと思います。この業界は日本でも海外でも本当にごく一部の企業しかやってないのでライバルが少ない世界です。愛知県では最初は瀬戸の焼き物に塗る塗料をゼラチンを使って転写させていたことが商いの始まり。ゼラチンはインク離れが悪いのでシリコンを使うようになりましたが、このような手法のことをタンポ印刷と申します。

 

タンポ印刷という言葉を知っている人は少ないと思うけれど、日本ではパッド印刷って呼ばれてます。これは転写するための媒体にシリコンパッドを使う事からそう呼ばれるようになったのだと思います。元々はドイツのタンポドラックという会社が開発した技術なのでタンポと呼ぶんですけど、タンポって言われてもピンとこない人が多いのでパッド印刷と呼ばれるようになりました。
 

※現在はタンポプリント社に変わってますね。


パッドって言うと胸パッドとか肩パッドの様に膨らんだ形を連想することが多いからシリコンゴムで作られたおっぱいのような形状のものをシリコンパッドと呼んでいます。何故シリコンなのかというと、それには深いわけがあります。

 

(1)ゴムのような弾力性が必要。
(2)離型性能に優れている。
(3)材料を入手しやすい。

 

弾力性が必要なのは様々な3D形状の素材に印刷する為で、これができなかったらインクジェットプリンターとかスクリーン印刷(シルク印刷)とかレーザープリンターと何ら変わらない。ゴルフボールとか野球のボール。パチンコ台のプラスチック、車の内装部品、家電製品その他ありとあらゆる製品の最終工程として機能できるのは弾力性のあるゴムで転写するためだ。うたい文句としては水と空気以外は何にでも印刷できるだけど、実際にはそこまで優れた技術ではなくてドーム形状の物体に印刷するとその外周部分にはひずみが発生する。2018年の8月、熱意を込めてやろうという記事の中でも書きましたけど、傾奇御免役物の5か所文字を印刷するのに、ひとつのシリコンパッドで印刷するとドーム形状の一番外側に位置する部分はシリコンゴムが伸びてしまうので印刷もそれに追随して伸びてしまう。全てにおいて100点満点かというとそうではない点も多々ありますが、それでも尚多くの製造業の加飾技術として重宝されているのは、この弾力性に他なりません。

 

離型性能って言葉聞きなれないかもですけど日常生活で使っています。

 

そうです。フライパンです。フライパンの表面にはフッ素樹脂を塗ってるんですけどこのおかげでお好み焼きを焼いてもくっつかないで焼けます。テフロン加工って呼ばれてますけど早い話フッ素樹脂で表面が覆われているのです。使ってるうちに徐々にこのフッ素がはがれていくので、離型性能が落ちていきくっつかない現象が⇒くっついてしまうに変わります。表面のフッ素がはがれたら離型性能はなくなるわけです。何故離型性能が必要かというと、版の上のインクを拾ったシリコンゴムが素材の上に移動され押しつぶされたときに、今度はインクを離さないと駄目だから。ここで離型性能のないゴムだと素材に転写されるインクと転写されないインクに分かれてしまい印刷はできません。

 

ゴムが版の上で押圧されたときはインクを拾わねばならない。

だけど印刷物の上で押圧されたときはインクを離さねばならない。


両方を満たすために離型性能はとても重要ですが、離型性のある物質は限られてます。私が知る限りシリコンとフッ素くらい?

 

でもフッ素樹脂はとても高いのです。

 

だから材料を入手しやすいってことも重要な要素です。メンデレーエフの周期表を思い出して下さい。

 

 

 

スイヘイリーベボクノフネ ナーアルケイリンオウエン アルゴンカリウムカルシウム。元素記号は1番から20番までは覚えなさいってよく言われるので私は今でもここまではそらで言えますが、この一覧の中で1Aと2A族はアルカリ金属とアルカリ土類金属でこれは花火に使われる物質です。燃えた時に炎色反応を起こし夜空にきれいに光輝きます。4Bに族する物質は価電子が4つなので一番不安定。導体と絶縁体の丁度中間なのでこれは半導体と呼ばれます。半導体って言葉はパソコンの製造によく使われてるってイメージがあるかと思うんですけど早い話価電子が4の元素です。7Bに族する物質がハロゲンですねえ。非常に毒性が強いです。クロロ店長のクロロってのはこの17番塩素の事を指すのではないかと思ってるのですが、彼曰く毒性の強い人間だと。0に族する物質は電気的に最も安定している状態の物質で希ガスと呼ばれます。


クロロホルム⇒有毒
クロロベンゼン⇒有機溶剤です
ジクロロメタン⇒クロロとメタンガス(発がん性物質)
クロロと付けば一般にかなりの有毒物質です。クロロ⇒塩素のこと


話がそれました。この表では元素は原子番号109番まであるのですが


この中で地球上に最も多い物質はどれだと思いますか?






原子番号8番の酸素(O)ですね。


そして2番目が原子番号26番の鉄(Fe)


そして3番目が原子番号14番のケイ素(Si)


シリコンゴムはこの3番目のケイ素を使って作られています。具体的にはSiO2です。

 

だからシリコンゴムは安価な値段で調達できるのです。フッ素は高いけどシリコンは安い。従って上述した(1)から(3)の全てを満たせる物質はシリコンしかないからパッド印刷はシリコンパッドが命なのです。それではパッド印刷の仕組みを簡単に説明しようず。


ブレード式の印刷方式

カッターの刃でかきとっていくブレード式と円形の刃物でかきとっていくカップ式とがあるんですけどまずはブレード式
 

 

写真(2)の版が飛び出してる状態をイメージして欲しいですけど、ここから奥の方へと皿が引っ込んでいきます。するとブレードフォルダによって押し上げられたインクが版の上に覆いかぶさります。

 

 

この状態で版が前に出てくると、凹んだ部分にだけインクが残り、他の部分にはインクの無い状態ができます。この上にシリコンパッドが押圧されるとインクがシリコンに転写されます。インクをかきとるやり方は色々あるんですけど、基本的な理屈は上記の画像そのもの。凹んだ部分だけにインクを残し、この上に移動してきたシリコンパッドが下降してきて版の上に押しつぶされる。その次に素材の上にシリコンが移動して今度は素材の上で拾ったインクを転写する。ここで100%インクを手放すからきれいな印刷ができるのです。


カップ式の印刷方式

それでは実際に印刷してみましょう。上のブレードタイプは初期の頃のパッド印刷機ですが、現在ではカッターブレードによるかきとり方式からカップ状の刃物による方式に変わっています。それが以下の画像です。

 

 

薄い版の上にカップとマグネットを置いた画像です。この後インクを入れます。
 


 

カップの中にインクを充填します。この手はゴーニィ爺の手です。
 

 

2段式のカップでございます。下にインクを入れて上のカップには溶剤を入れて溶剤の飽和状態を作ります。
 

 

機械にセットします。

 

 

このままでは空気に触れる空間がありすぎるので遮蔽します。有機溶剤は空気に触れると乾燥しインクの粘度が下がります。粘度に変化が生じればきれいに印刷はできません。その為に粘度を維持するための工夫が満載です。

 

 

これで完全に密閉されました。

 



 

印刷をするときだけシャッターが上昇し版が前に出てきます。印刷が終われば版が引っ込みシャッターが下ります。


さあ連続印刷の開始です。

 

シリコンパッドは素材の真上に位置していますが、印刷を開始するとシリコンパッドが版の上まで移動し、それに合わせて版が前に出てきます。シリコンパッドが下降押圧しまず1回目の転写。その後シリコンパッドは上昇と移動を行い素材の上で下降押圧して印刷の完了です。


シャラララ シャラララーラ シャララーラ シャラララーラ 

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この音楽はHONDAのコマーシャルで流れる曲ですが今日のテーマはホンダというよりもトヨタでしょうかね。愛知県民にとってトヨタ自動車はあまりにも大きな存在。そのトヨタにも通用するマシンを開発し続けています。従って本日のテーマはDo you have a HONDA.いやいやいやDo you have  a TOYOTAです。下のpostcontent以下をクリックして下さい。動画が流れます。
 

/postcontent-editor/uploads/22/files/%E7%94%BB%E5%83%8F/SSC8.mp4

 

この動画では人が位置をずらしながら操作してますが実際の現場では、このような作業は全て無人化で行うことができます。1日に4000個とか5000個の印刷物があったとしてもそれを全て無人化で行うことができるので便利な設備として重宝されるわけです。その為には素材の搬入と搬出をロボットで操作する機械が必要ですが、それ以上に重要なのはインクの粘度を一定に保つってことですね。有機溶剤は時間と共に、空気に触れれば触れるほど乾いて量が減ってしまうので印刷時間が長くなればインクの粘度が上がってしまいます。

 

インクの粘度は900CPがベストですが時間経過すると粘度が上昇します。


それを防ぐために、インクカップをインク層と溶剤層の2段重ねにして、機械側で完全に密閉してるというわけです。

 


<ロボットとの組み合わせ>
完全自動化への道のり
 

 

/postcontent-editor/uploads/22/files/%E7%94%BB%E5%83%8F/SSC11.mp4

postcontentをクリックして。動画が流れます。


これはどうでしょうか?紙でできたコップ受けに水性インクで2色刷りをしている機械工程ですが、ロボットの吸盤がエアでコップ受けを吸い上げて所定の位置まで運びます。治具に素材をセットできたらターンテーブルが回転し、印刷機の位置で止まります。ここで最初の印刷(黒文字)を行い、次のテーブルに向かいそこで2色目(赤文字)の印刷を行います。印刷が完了すれば今度はエアで吸い込んだコップ受けを搬出口まで運びます。これによって人の手を借りずに完全に自動化印刷する事ができるわけです。

 

今度は全く新しいロボットです。


 

/postcontent-editor/uploads/22/files/%E7%94%BB%E5%83%8F/SSC12.mp4

postcontentをクリックして。動画が流れます。

 

今度は1台のロボットが大活躍です。所定の位置にあるコーヒーカップホルダをロボットが3本の指先で掴み印刷機に向かいます。治具の上にカップフォルダを乗せて印刷を行うと、今度はグルリと1回転して裏側の印刷を行います。つまりカップホルダの表と裏を両方印刷しようとしているわけです。両面の印刷が終わったら別の場所に移してパップフォルダを手放します。これもロボットが投入と搬出を自動的に行っています。


いかがだったでしょうか?

 

このようにしてワークを治具のある所まで自動で持ち込んできて印刷を行います。2色とか3色、4色印刷することもあります。印刷が終われば所定の場所まで運んで搬出作業を行います。こうした1連の作業を持って無人化の印刷作業を1日中行うことができるのです。工場の印刷現場ではこのようにして人が手を掛けない仕組みで印刷を行うことが当たり前のようになっており1日中ミスが許されない環境で作業を続けます。ロボットの動きに関しては完全に機械的に操作すればできますけど、印刷を同じ粘度で8時間やり続けるのは実は非常に難しいのです。


その為の完全密閉  
 
その為の2段式カップ  
 

これが弊社のウリでございます。  


この機械をトヨタ自動車に売り込むぞう!  


待ってろよ新社長。  


シャラララ シャラララーラ シャララーラ シャラララーラ  

シャラララ シャラララーラ シャララー シャララララー  


適当な嘘をついて その場を切り抜けて  
 
誰一人傷つけない 日曜日よりの使者  
 
流れ星が たどりついたのは  

悲しみが沈む西の空  

そして東から昇ってくるものを  

迎えに行くんだろう 日曜日よりの使者  


シャラララ シャラララーラ シャララーラ シャラララーラ 

シャラララ シャラララーラ シャララー シャララララー

<日曜日よりの使者.mp3>スマホ再生OK

/postcontent-editor/uploads/22/files/SOUND/%E6%97%A5%E6%9B%9C%E6%97%A5%E3%82%88%E3%82%8A%E3%81%AE%E4%BD%BF%E8%80%85.mp3

 

ご用命は052-505-1811まで

 

コメント

  1. 村上亀吉より:

    正直、技術的な解説はちんぷんかんぷんでしたが、背景に映るフロアが手術室の様な清潔さだったのが印象的でした

    半導体製造ラインほどではないにせよ、塵芥の悪影響が歩留まりに影響したり数千ロットの納品をパーにしてしまうシビアな現場だと感じます

    NC旋盤も私が若い頃は1ミクロンの精度と謳って居ましたが、今は桁が上がって居る様でプログラミングの知識もさることながら切削工具の管理もよりシビアと思われ、顕微鏡等を用いて耐久性とコストのバランスを探って居るのだろうかと想像しています

    私は概念で大まかにしか事象を理解出来ない人間ですが、ゴーニィ様はじめ技術の追求をされる職人さんに敬意を持って居り、身近な家電製品等を見ては「これはどう素材を成形し組んでいるのだろう」と考えています

    ゴーニィ様も当面の受注の対応と共に後進の育成を期待されていると思われ、ご自身で仰る程には気楽な勤務と言う訳では無さそうです

    どうぞお身体お大事にお過ごしください

    2023年1月28日 AM 5:55
  2. ゴーニィ より:

    村上亀吉様

    やっぱり技術的なことは分かり難かったですか。

    私は今までタンポの仕組みに慣れているのでこれでも十分分かり易い内容なのですが、部外者にとっては駄目なのかも知れませんねえ。

    こんなこと始めてみましたっていう内容。


    まあまだまだ始まったばかりです。最近はどんな記事を書こうか頭を悩ませる日々なので何事も経験とお考え下さい。パチンコ優良店の実践報告は全て抜いております。


    ご了承くださいませ。

    パチンコに関しては本当にガラリと変えるつもりです。

    2023年1月28日 PM 4:31

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