号外

今年1年間は大谷一色の記事になるだろうと言ってた通り。WBCから始まって4月MLB開幕。WBCで活躍した投手はその後何らかのアクシデントに見舞われてるけど…。5月、6月、7月予想した以上の打撃成績を披露してくれて、アーロン・ジャッジが大怪我をした時点でホームラン王はほぼ手中にしたと思ったし、三冠王も夢ではないと思ったし、サイヤング賞も夢ではないと思った。私が思い描いたあらゆる夢の実現を叶えてくれるプレイヤーの存在に心躍らせてくれた1年間だった。7月27日の圧倒的なパフォーマンスが1番の思い出ですが8月思わぬところからピリオドを打った。

 

大谷大谷大谷の記事ばかりでどうもすいません。

 

それくらい書くに値する出来事ばかりの1年間をどうもありがとう。読むのにお付き合いしてくれた読者の皆様も、読まずに流してくれた皆様もありがとう。大谷さんの記事は、パチンコの記事よりも力が入って書いたね。無心で野球の記事ばかりを書いてきた1年間だった。

 

大谷翔平さん

ホームラン王おめでとう。


2003年に松井秀喜が海を渡って20年。彼がNYYに入ると知ったときは、日本よりも単純に100打数多くなるから本塁打の数も増えるだろうと楽観してたのですが、ふたを開けると松井のバットからは豪快な一発が消えホームランバッターからコンタクトヒッターへの切り替えが進むという皮肉な結果でした。ヤンキースのスタインブレナーからはこんな選手を獲ったつもりはないと酷評されさぞ辛かったと思いますが、本人としてはやれることを淡々とこなした結果の16本塁打だったように思います。その年はフル出場して打率.287、打点106をマークしていますからチームとしては合格点だしトーリ監督の目には「信頼できる打者」であったのは間違いないでしょう。162試合を終わった結果はGOOですけど、着地に至るまでの悩みは相当深かっただろうなあと推測です。当時日本の投手とMLBの投手では球速で平均5km/h違うという事と、シンカーとカットボールにてこずったというのが1年目の真相ではないかと思います。

 

2年目に変化するボールへの対応が進みブレイクしてますけど1年目は苦労してました。

 

今年は5月に吉田選手と大谷選手の10月予想を立てています。その答え合わせをする時間となりました。

 

 


上記画像の中でグレイの囲みは松井、大谷、吉田各選手のルーキーイヤー。
※上段から順に2003年松井。2018年大谷。2023年吉田の成績


まずは吉田選手から。日本の最高のバッターというつもりで送り出した訳ですけど物足りない数字ですね。何でこんなことになったかなあと思うけど打点と四球の数が思ったより伸び悩みました。この点では予想を外してしまったと反省してますが、今年の彼は得点圏打率が低かったですねえ。.268です。選球眼の良いバッターなんでもっとフォアボール選ぶかと思ったけど、追い込まれたときの打率が低いんで積極的に打っていった証でしょうね。これについては序盤で選びすぎて結果が出てないと分析してましたから、途中から若いカウントから狙いにいったんでしょう。9月以降の大失速がなければかなり評価される打撃内容でしたけど、均してみれば大数の法則に従うという事で今年はまだ3割打てる実力がなかった感じです。

 

ただ松井秀喜と数字を比較すると極めて似たタイプの打撃だったと分かります。


打率、長打率が酷似してますから。その上三振の数もかなり似ています。このような数字を見る場合、私が最も重要視してるのは、バットに当たってフェアゾーンに飛んだ時の打率です。これを右端の欄外に示しています。松井と吉田両選手の数字が近いです。


バットに当たった時の打率
松井選手⇒.333
吉田選手⇒.340

 

アテに行った打撃ですね。安打製造機タイプの打者はこの数字がかなり低いので概ね1/3はその証。コンタクトヒッターはですね、大体この数字が.333前後になるんですよ。ハードヒッターはアテに行くってことがないので、バットで捉えたら打球の速度は速いし、バレる率が上がれば外野手のいないとこまで飛ばすのでこの数字が4割近くまで跳ね上がります。これだけの数字の分析で、松井選手と吉田選手の打撃内容はかなり似ていたと見ることができます。

 

1年目の松井選手はゴロキングと言われて内野ゴロで非常に苦しみました。吉田選手はそれと同じような苦しみを味わったのでないかと、勝手に思ってるんですけど、それを裏付けるのは併殺が20もあったってこと。


大谷が9
シーガーが9
アルバレスが8
タッカーが11


左の好打者の中では20という数字は突出して多いです。

 

実際に今年1年間、大谷や吉田の試合中の成績を見てて吉田選手は内野ゴロアウトが異常に多いなあって思ってたものですから、おそらくは集計すればそういう結果になってたと思うけど、これは松井選手が1年目に苦労してたのと同じ理由と推測しますね。右投手が投げる外のシンカーと内のカットボール。シンカーはシュート回転して逃げていくボールで尚且つ沈むからバットの先に当たってショート、セカンドゴロ。カットボールは内側に食い込んでくるから詰まってセカンド、ファーストゴロ。この2つの球種に苦しめられたと思うので来年はどう対処するかですね。多分日本の好打者、強打者が向こうに行けば大抵この動く速球に苦しめられるのでこの辺は慣れが必要。

 

真っすぐ⇒フォーシーム(おんなじ)
シュート⇒シンカー(2シーム)
スライダー⇒カットボール
フォーク⇒チェンジアップ
カーブ⇒ナックルカーブ


左側が日本の投手が投げる球種で、右側がメジャーの投手が投げたがる球種。ちょっと違うんでね。日本の野球に長くいて染まってしまうと、向こうに行った時てこずります。松井も吉田も日本で長期間結果を残したために、日本の投手になれてしまったのかも知れません。日本ではあまり長期間打者として打席に立たない方がメジャーの投球にアジャストしやすいのかも知れないと最近思い始めています。そうでもない限り何で大谷選手が打者としてあれほどまで打てるようになったのかが説明できない。ある程度分かっているのは、日本で長く野球をやれば前で裁くクセが身についてその打撃を向こうに持ち込むと通用しないこと。


松井秀喜
松井稼頭央
中村
城島
井口
西岡
福留
青木
岩村
筒香


何人もの和製大砲が海を渡りましたが期待通りの結果になったのはひとりもいません。

 

これらの人達に共通するのは皆日本で10年近くプレイして最盛期に海を渡った選手だという事。それなのにメジャーでは通用せず、帰って来たのは何故かと疑問に思うんですけど、本塁打を目指して向こうに行った人は本当に歯が立たなかったです。特に日本と向こうとで本塁打の数が激減したのは岩村選手で彼は


神宮球場では533打数で44本塁打したのに
タンパベイ・レイズの2年目は627打数で6本塁打ですよ。

 

日本で44本打つバッターがメジャーでは6本ですからね。だから日本で長くやった人には無理なんだろうなあって思ってた時に、大谷翔平の2018年は本当に衝撃的でした。
 

 

 

2018年の4月にエンゼルスタジアムで3戦連発。3試合ともロックパイルに打ち込んだ姿を見て彼は今までの和製大砲とはちょっと違うと思いました。今までの和製大砲なら引っ張りに行くところですが彼は全然引っ張らないので通用するんではないかと思いましたね。思えば松井がNYYに行ってしばらくしてAロッドがやってきましたが、彼のバッティングもまたホームランバッターでありながら全然引っ張らない。ライトにもセンターにも本塁打を量産するのでメジャーで通用するホームランバッターのスイングに驚きましたが、大谷のスイングを見てAロッドに似てるというのがその時の印象でしたね。


今のメジャーの長距離砲は全方向に本塁打を量産する人が多いです。アーロン・ジャッジも大谷もそうだけど、共通するのは前で裁くんじゃなくって後ろで裁くってこと。ボールを捕手寄りの位置で捉えても、起動する位置がかなり後ろにあるから捉えたときのスイングスピードは遅くならない。これはその翌年に松井と大谷の比較をした時に書きました。弓を思いっきり後ろまで引いてピュンと離す感じ。スイングスピードが1番速くなるときにバットとボールが衝突しないとホームランにはならない。

 

2018年の時点で既に大谷選手は本塁打王の資格があるような成績でした。

 

 

1年目の成績が良いですね。


彼がジャッジと異なるのは本塁打が長期間に渡って出なかったことがある事。この6年間では、2年目の最後100打席くらい本塁打なし。去年の最後100打席くらい本塁打なしってのがあります。ジャッジにはそういうのがないので本塁打に関しては彼には敵わないけれど、本塁打王を獲れるかどうかに関しては1年目と2年目の途中までがそれを物語っている。2年目のラスト100を本塁打ゼロとすると、


キャリア最初の600打数で本塁打40本も打ってます。


スランプに陥ったのも2回あります。コロナウィルス流行した年。この年は打率.190で終わってるけどその時は彼がまだ一流とは認められたない頃だったのでそれが実力と思われていました。もう1っ回は2021年のオールスター以降。この時はホームランダービーに出場して打撃フォームを崩しましたね。極度のスランプと長期間に渡っての本塁打ゼロ。こういうのがなくなればもっと打てるようになるけど、その方法は私には分からないんでね。見守るだけです。アーロン・ジャッジには本当にそういうのがないから彼は1段階上のところにいるような気がする。

 

 

ハードヒッターの条件として

バットに当たった時の打率をあげました。

松井⇒.333
吉田⇒.340



大谷⇒.394
アルバレス⇒.395
ジャッジ⇒.430

 

上記画像の右端黄色で囲んだ数字がバットに当たった時の打率。これが高いほど強打者です。今のところアメリカン・リーグは大谷、アルバレス、ジャッジの3人の数字が突出してますがこの点では大谷さんは既にトップ3に入ってるってことですね。あとトラウトのキャリアが.412なんですけど、既に盛りを過ぎた選手なので今後はこの数字がかなり低下するとみて上記からは除外。過去には優れた成績でしたがこれからは無理でしょう。


 

今年ナショナル・リーグで大ブレークした選手です。何度もネット上で大谷より上と紹介されてましたが、去年までの数字は割と平凡。それほど大騒ぎするほどの選手じゃないんですけど無知な輩は本塁打の数だけでものを言うからね。マット・オルソンが良かったのは今年だけで、キャリアのバットが当たった時の打率は.352だからそれほど意識しなくても良い。

 

 


現時点でナショナル・リーグのトップはこの二人。オルソンもアクーニャもライリーもブレーブスの選手だけどひとつのチームにこれだけ偏ると凄いね。大谷選手がナショナル・リーグに移籍したらまずはこの二人と本塁打王争い。若しくは打点王、首位打者争いを演じることになる。特にアクーニャは大谷の三冠王を阻みそう。


今度はナショナル・リーグここ最近の本塁打王。

 

 

アロンソはルーキーイヤーに本塁打王。シュワーバーは去年の本塁打王。


いずれもホームランは量産するけど、打率がうんと低いんでバットに当たった時の打率も低めです。ハードヒッターはこの数字がもうちょっと高いはずなんで、この二人には何らかの欠点が隠されてるとは思うけど三振が多いから打率が低いのは当たり前。だけどそれ以外にも足が遅いとか何らかの欠点を抱えてる選手。バットに当たった時の打率がここまで低いと、大谷のライバルにはなり得ない。

 

以上アメリカン・リーグで3人。ナショナル・リーグで5人の強打者を見てきましたが

ジャッジ⇒.430


アルバレス⇒.395
大谷⇒.394
アクーニャ⇒.391
ライリー⇒.386
オルソン⇒.352
シュワーバー⇒.339
アロンソ⇒.338


MLB全体の中でジャッジが断然飛びぬけてるけど、大谷選手も全体の3位に入ってるところが凄い。彼がナショナル・リーグに行って三冠王を狙うとしたらアクーニャ、ライリー、オルソン辺りがそれを阻むだろう。2018年の頃には大谷が三冠王?っていったらバカにされそうな話だったけど、私はビレッジの中でも将来獲るかも知れんと書いてます。2018年9月17日のこと。その時点で彼の打撃能力にベタ惚れしてたので私の先を見る目というか野球を見る目ももっと知って頂きたい。

 

 

2021年にホームランブレークした大谷選手ですが、この3年間はほぼオールスターまでで成績が止まってます。勿論オールスターまでが90から92試合で残りは70試合くらいなので後半の方がホームランが少ないのは分るんですけど、それにしたって少なすぎますよね。この中で特に注目して頂きたいのはHR率と打点率ね。


HR率⇒HR1本打つのに必要な打数
打点率⇒打点÷打数

オールスター前までは11打数に1本のペースで打ってるのに、オールスター以降は16打数に1本のペース。打点に関しては2割⇒1割4分という事でガタ落ち。これは彼自身が二刀流を続けたことによる疲労ってのもあるでしょうけど、それ以上に

 

歩かされるから


相手チームが大谷との対戦を嫌がってストライク投げないからでしょう。

 

この前書いたのはそういう事なんですけど、ここまで成績が落ちると4月から7月までしか勝負してもらえないって事が浮き彫りになるので、選手としてはエンゼルスでプレイすることをためらいますね。感覚的にはオールスターが終われば10本くらいしかホームランが増えないんでね。これではやる方もストレスが溜まるでしょうし、そこに所属するチームとしてもあんまり良いことはないっすね。歩かされるのは大谷が塁に出ても得点につながらいからそうするのであって、いくら彼の出塁率が高まってもチームには貢献しとらんのですわ。


それよりも彼の前後を打つバッターに良いのを揃えとかないと。

 


という事で彼がアメリカン・リーグに居続ければアーロン・ジャッジは常に強敵。ジャッジの打率.430だけが飛びぬけてるので、現時点では大谷がジャッジを超えることはないと思うけれど、彼は身長が2mを超えるし、体重は120kgもありながらセンター守ってるんでいつ怪我をしてもおかしくない。彼の怪我によって今年は本塁打王に輝いたけれど、1昨年はジャッジフル出場でも大谷はジャッジを上回る本塁打を打ってたので、これからも本塁打王に輝くことは何度かチャンスがあるでしょう。

 

ナショナル・リーグに行けば、本塁打ではオルソン、アロンソ、シュワーバーとの一騎打ちになると思うし、打率ではアラエス、アクーニャ、フリーマンとの競争になるけど三冠王が獲れそうなシーズンは何度かあると思いますね。個人的にはメジャーでホームラン王が獲れたんで

 

それだけで満足ですが。

 

王が、長嶋が、張本がいた頃には有り得んと思ってた話し。それから25年くらい経って松井秀喜が海を渡るときは、彼にホームラン王の夢を託したけど、その夢がついに叶いました。


今年は本当に嬉しい。

 

でも大谷選手がホームラン王を獲る資格はメジャーに挑戦した1年目とか2年目に既に取得していた。後はいつなるかだけのタイミングだった。今年はジャッジが長期間怪我で戦線を離脱したおかげでキングになったけど、それだけが理由じゃないってことは今日の話を読めばよく分かってくれたと思う。大谷翔平のホームラン王に感謝。

 

大谷選手がホームラン王のタイトルを獲得できた要因は

日本のプロ野球界で打者として大成しなかったから。
それは日本でのアジャストではなくてMLBでのアジャストだったから。
それは前でさばく打撃ではなくて後ろでさばく打撃だったから。
それは最初から日本の野球を見ずにMLBの野球を見ていたから。
そのためには、栗山監督の力が必要だった。



 

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